ボランティア

【173校目】日出る国からの贈り物 バングラデシュに安土小学校

首都ダッカから北西へ車で約2時間の村ガングッチアに、エルセラーン1%クラブとNPO法人「PUSバングラデシュの村をよくする会」との共同事業で安土小学校の新校舎が完成し、2020年1月25日に開校式が行われました。この日の主役・香川県のボランティアキャプテン 安土節子さんは家族やたくさんの仲間が見守る中、心震える至福のひとときを体験しました。

北海道の2倍足らずの国土に約1億7000万人が暮らすバングラデシュ。人や車が多く、混沌としている街中からはえも言われぬエネルギーが湧き上がっていました。



客を乗せる座席を取り付けた三輪自転車のタクシーは“リキシャ”と呼ばれ、この国の庶民の足として重宝されています。



開校式へ向かう前に、宿泊するホテル内でプレートを囲んで写真をパチリ。いざ出発です。



都会の建物はコンクリートやレンガ造りが多く、郊外にはレンガ工場が目立ちます。開校式へ向かう道中も、モクモクと煙を吐き出す煙突を何本もみかけました。


目指すガングッチアはダッカ中心部から70~80キロ離れた田舎町。イスラム教徒70%、ヒンドゥー教徒30%が穏やかに暮らす農村です。道中の景色も都会の喧騒から田園風景へと変わっていきました。


小学校へ到着すると、生徒たちが花道を作り、「セツコ、セツコ」と安土キャプテンの名前を叫びながらお出迎え。緊張していた主役の顔がようやくほころびました。


一行は校庭に設けられた式場の主賓席へ。安土小学校では350人の子供たちが学んでおり、この日もたくさんの生徒に見つめられながら着席しました。



ヌルル・イスラム校長は歓迎のあいさつを「両国はアジアの東と西の端に離れていますが深い関係にあり、似ている点があります」と切り出し、国旗のデザインと戦争のつらい体験に触れました。そして、教室不足に悩まされていた生徒たちに校舎を贈ってくれた“遠い国”からの一行に深い謝意を表しました。


びっくりしたのは生徒代表として登場した4年生の男の子のスピーチ。
「日本は太陽が昇る方角にある国。校舎の支援を通じて日本から暖かい太陽の光が届いた気がしています。学校ができたことで私たちは将来の夢を持つことができました」
「私たちは広島、長崎での悲しくつらい歴史を勉強しました。そんな中でも強く生きている日本の人たちに敬意を表します。私たちはこの学校で世界が平和になるための勉強をしなければならないと考えています」
大人顔負けの感動的な内容でした。


みんなが見守る中、いよいよ主賓・安土キャプテンが生徒たちに語りかけました。
「バングラデシュは暖かい国だそうですが、日本は雪が降り白くなります。世界中にはみなさんがまだ見たこともない美しい景色がたくさんあります。みなさんにもっともっと見てほしい」
「この学校でたくさん学んで夢を育ててください。みなさんの笑顔は私の宝物。頑張ってください」
胸にこみ上げる思いのたけをひとこと、ひとこと紡いでいきました。


恒例となった銘板、石橋会長・糸谷社長のパネル授与は和気あいあいとした雰囲気の中で。生徒たちの間から自然に「ありがとう、ありがとう」の大合唱が湧き上がりました。



学用品や縄跳びなどの贈呈、教育関係者のあいさつと式典は順調に進み、プログラムは生徒たちによる歓迎の踊りへ移りました。


赤やオレンジの色鮮やかなサリーを着飾った生徒たちが跳び回るように全身を使って激しく踊ります。力強く難しいステップが踏めるように裸足で…。
いつの間にかエルセラーンのメンバーも引き込まれて一緒に踊り出していました。



式典が終了すると、生徒たちが待ちかねたエルセラーン一行との交流タイム。たくさんの子供たちが安土キャプテンらを取り囲み、記念写真をせがみます。


記念写真をおねだりするのは子供だけではありません。大人たちもスマホの自撮りでパチリ。


遊びに言葉は不要…。安土キャプテンのお嬢さんは歳が近いせいか、子供たちの人気者でした。


つぶらな瞳の子供たち。じっと見つめられると、吸い込まれそうな澄んだ目をしていました。



楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、別れのときが。みんな名残惜しそうに握手してきました。


エルセラーンの一行もマイクロバスの中から見送る生徒や父兄に手を振ります。


バスが動き出すと、走って追いかけてくる生徒の姿も。1㎞近くも付いてくる子もいました。感謝の大きさを追いかける距離で示そうとでもするかのように。


ホテルへ戻る道中のレストラン。一行は開校式の感動の余韻をかみしめるようにこの日の感想を述べあいました。





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