その他ボランティア

海外の絵本紹介 第2弾【前編】

エルセラーン1%クラブと提携する『公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(以下SVA)』は難民キャンプなどでの地域で、絵本を作成するなどの図書事業を展開しています。

以前も一度ご紹介したことがありました。
海外で出版された絵本を紹介

今回はアフガニスタンで作られた「サナムとつばめ」という絵本です。
長いお話ですので前後編でご紹介します。



【サナムとつばめ】~前編~



昔々、ある家族が村に住んでいました。

一家には子どもがいなかったため、
サナムと妻は子どもを授かるように、いつも神様にお祈りをしていました。

長く待った後に、神様は二人に息子を授けました。

息子はガルと名づけられました。

やっと授かった息子なので、
二人は彼をとても可愛がりました。

一家は幸せに暮らし、ガルは五歳になりました。




その年の冬が過ぎ、春がやってきました。

春とともに、渡り鳥が戻ってきました。

ツバメも戻ってきて、
いろいろな場所に巣を作り始めました。

一対のツバメが、
サナムのベランダに巣を作りました。

二羽は、遠い場所から巣を作るために、
くちばしで泥を運んできたのです。




数日後、メスは巣で卵を産みました。

メスは、卵を温めていたので、
時々、メスは巣から飛び立ちましたが、
すぐに戻ってきました。

オスが外に出て、自分たちのために、
食べ物を運んできました。




二、三日後に、可愛い赤ちゃんが二羽生まれました。

つばめの夫婦は、巣を離れて赤ちゃんのために、
くちばしで餌を運んできました。




赤ちゃんは大きくなり、
巣から頭を出すようになりました。

時々美しい鳴き声も聞こえてきました。

それを見てガルは、
つばめを捕まえようとジャンプしました。

サナムと妻はその様子をほのぼのと見ていました。

また、つばめの赤ちゃんの美しい鳴き声を聞いて、
とても幸せでした。

「つばめは、幸せを運ぶ鳥と呼ばれているが、
まさにその通りだね。」とサナムは言いました。




ガルは村のいたずら少年と同じように、
パチンコを持っていました。

ある日、赤ちゃんつばめが巣から頭を出し、
親鳥の帰りを待っているとき、ガルはベランダに立って、パチンコに石を詰めました。

赤ちゃんつばめを捕まえたかったのです。

幸いなことに母親がそれを見つけて、
心配そうにガルにたずねました。

「息子よ、何をしているの?つばめがお前に悪いことが起こるように祈りますよ。」

しかし、ガルは母親の言うことを聞かず、
パチンコを赤ちゃんに向けました。




母親がガルをさとしていると、サナムがベランダにやってきて、何事だと妻に尋ねました。

妻は「ガルが赤ちゃんつばめを捕まえようとしているのですよ。」と答えました。

これを聞いたサナムは怒り、
ガルからパチンコを取り上げて言いました。

「可愛い息子よ!ツバメは幸せを運んでくれる鳥で、蚊が私たちの家に入らないように捕まえてもくれているんだよ。それに、私たちがおまえをとても愛しているように、つばめも自分の子どもを愛しているんだよ。もし誰かが石でおまえを打ったら、私たちはとても悲しい。ツバメもそれと同じなんだ。」




サナム達三人はカーペットに座り、話を続けました。

それを聞いたガルは二度とツバメとその巣を狙わないことを約束して、パチンコを返してもらいました。




その様子を赤ちゃんツバメ達は聞いており、父鳥と母鳥が帰ってきた時に、すべてを両親に伝えました。

つばめの夫婦は子どもたちを助けてくれたサナムに感謝し、一家の幸運と健康を祈りました。




二日後、ガルはまだベランダにやってきて、
パチンコに石を詰め、赤ちゃんつばめを狙いました。

するとその時サナムがやってきて、
ガルを見つけました。

怒ったサナムは、ガルからパチンコを再び取り上げ、
それを壊して言いました。

「この前の約束を忘れたのか!
もう二度とこんなことするんじゃない」

このとき、つばめの親子は一部始終を巣から見ており、サナムの行動にとても感謝し、サナムのためにまた祈り、彼の顔を頭に焼き付けました。




サナムがガルにベランダで話していると、
ガルの母親がやってきて、尋ねました。

「なにかあったのかい?」

サナムは答えて
「ガルがこの前の注意を聞かず、また赤ちゃんつばめを打とうとしたのだよ。」

ガルの母親はそれを聞くと悲しくなって、
何も言えませんでした。

ガルは母親に助けを求めて言いました。

「お母さん!
お父さんが僕のパチンコを壊したんだ。」

それを聞いて母親は「お父さんのやったことは正しいことよ」と彼に言いました。




ガルは両親が怒っているのを見て反省し、
これからは二度としないと謝りました。



―――前半はここまで。後半につづきます。



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