
【水墨画のような】
宿泊先のティエンカンホテルから、専用バス4台に分乗して一路、カンバオ村へ。山の中に分け入るような、道中が続きます。ぬかるみあり、でこぼこ道もあり…。水墨画のようなベトナムの原風景に、ようやく出会えたような、そんな思いに包まれてきます。
ラタニアの葉でできた円錐形の帽子「ノンラー」(葉笠)をかぶった人も、多く見られるようになりました(写真㊤)。道はしだいに細くなり、車窓が樹木の緑にこすれることも(写真㊦)…。少しスリリングなシーンも味わいながらの2時間が流れました。

【歓迎、トイレも】
笑顔が待っていました。国旗がはためいていました(写真)。「視察」ということだったので、お出迎えのセレモニーがあるとは、だれも思っていませんでした。
その時、子どもたちにとっても「予期せぬこと」が起こりました。エルセラーンの一行は、子どもたちが待ち構えていた「歓迎の小道」を進まずに、三々五々、学校の敷地の外に姿を消していきました。
トイレタイム。学校にトイレはあるのですが、日本の女性たちにとっては難行苦行…。それを見越して村の人たちが「家のトイレを使ってください」と申し出てくださり、そちらに走ったのでした。

【老朽化、飲み水持参】
カンバオ村には、410世帯1667人が暮らしています。農業と家畜の飼育で自給自足の生活。現金収入は少なく、貧しい村です。
トタン屋根の校舎(写真㊤)に入りました。もともとお米などの貯蔵庫として使っていた建物を、教室にしたそうです。
校舎は1987年築。教室は3つあります。30年以上の歳月が流れています。教室の壁や通路の柱は、塗料がそげ落ちていたり、レンガがほころびていたりします(写真㊦)。四季があり、冬にはかなり冷え込みます。雨の日にはトタン屋根にあたる雨音がうるさくなります。傷みが激しく、暑さや寒さを十分に防げていません。教室内は暗く、学習環境もよくありません。井戸がなく、飲み水は児童が家から持参しています。
